大阪労働学校・アソシエ「ものの見方・考え方講座」2021年度

「ものの見方・考え方講座」2021年度

ものの見方・考え方講座のご案内
 この講座は、こんにちの社会で自明なものとされている世界観、日常意識に問いかけ、その転換を迫ります。それは同時に、わたしたち自身のものの見方を問い直し、世界に向かい合う自己の眼を転換することでもあります。
 資本主義の変革とは、経済システムの転換だけでなく、このシステムを正統化している世界観やこのシステムを担っているわたしたち当事者のものの見方・考え方を転換することなしにはありえません。
 グローバル資本主義の破綻が目に見えるようになったこの時期に、その破綻に追い打ちをかけるようにして起ったパンデミックは、わたしたちの暮らしといのちと経済の関係を根底からひっくりかえす「ものの見方・考え方」を求める状況を生み出しました。
 パンデミックがもたらした社会危機をどう受け止め、どう対処するのか。今年度の本講座はこの問いを通して、わたしたちのものの見方・考え方を鍛える思考訓練の場として開講されます。みなさんの主体的な参加をお待ちしています。

2021年度 斉藤日出治
4月―7月、10月―1月の第2週木曜日18:30-20:00 講座回数各8回

講義テーマ 
パンデミックが露わにした資本主義の本性とわたしたちの未来

講義概要
 パンデミックは2008年のリーマン・ショックですでに破綻を来していた新自由主義的グローバリゼーションにとどめを刺し、経済が人類の命と暮らしを踏みにじるという資本主義の本性をあらわにしました。
 この危機は、したがってわたしたちのいのちとくらしを豊かにするための経済と社会がどうあるべきなのか、という問いをわたしたちに突きつけています。破局を希望に読み替えるための思考訓練が求められているのです。
 本講座では、パンデミックがグローバル資本主義の推進を不可能にし経済の停滞を招いた現状をたしかめつつ。その危機が資本主義の経済のありように深く根ざしているものであることを考えます。
 そして、資本の運動にわたしたちの暮らしを委ねるのではなく、わたしたちの暮らしの共同性にねざした経済と社会の仕組みをどのようにつくっていくことができるのかを考えます。

講義テクストおよび参考文献
斉藤日出治「市民社会と生権力―マルクスの剰余価値論を読み直す」『近畿大学日本文化研究所紀要』、2021年
斉藤日出治『資本主義の破局を読むー市民社会が発動する暴力を考える』藤原書店、2021年刊行予定
ロベール・ボワイエ『パンデミックは資本主義をどう変えるか』山田鋭夫・平野泰朗訳藤原書店

 講座で予定している毎回のテーマ
 1 パンデミックで資本主義はどのように変ったのか、なぜそのように変ったのか
 2 グローバリゼーションと国家との関係―パンデミックが変えたもの
 2 資本主義のなかに生まれた新しい発展様式-医療・教育・文化
 3 資本主義が破壊したもの、パンデミックが浮き彫りにしたもの
 4 パンデミックの危機とエコロジーの危機
 5 コモンの創造と発見
 6 社会的連帯経済―コモンを創造する経済
 7 ミュニシパリズムによる資本のグローバリゼーションの包囲
 8 生権力の転換―生かす権力から生きる権利へ

講座の進め方
パンデミックがもたらした社会的・経済的事象を思想的・理論的に受け止める論点を提示すると同時に、わたしたちの日常感覚でその論点がどのように感じ取られるのか、日常生活のなかでわたしたちが社会・経済危機にどう対峙したらよいのかについて、受講されるかた自身の経験もうかがいながら、議論を進めていきたいと思います。

2021年度 田畑稔
4月―7月、10月―1月の第4週木曜日18:30-20:00 講座回数各8回

講義テーマ
マルクス「生活過程(総過程)」論で分析するコロナ危機、コロナ危機分析でアクチュアル化するマルクス「生活過程(総過程)」論 

講義概要:
コロナ危機と通称される今回のパンデミックは2019年11月に始まり1年4か月経過した現在も先行きは見えていない。21年3月4日時点で、確認分だけでも世界の感染者は115,165,644人 死者は2,559,670人に上る。
コロナ危機は、それへの直接の対処において深刻な課題を日々突き付けているだけでなく、現代文明のあり方、グローバル化する資本主義の問題性、国民国家の狭隘性、さらには我々の生活の質にかかわる問題性などについて、根本的反省とオルタナティヴ構築の緊要性を心ある労働者や市民に意識させつつある。
今年は、マルクスの「生活過程論」に立って「総過程」視点を前景化するという第1の問題意識(これはマルクス思想の現在的刷新の中心課題である)と、広い視野を確保したコロナ危機の深く鋭利な現状分析を行うという第2の問題意識(これはオルタナティヴの実践的構築に不可欠である)を、重ね合す形で、相乗効果を企図した対話型の講義としたい。

講義テクスト:
田畑稔「2020年パンデミックへの「総過程」論的アプローチ」『ピープルズプラン』第90号、2020年11月、所載。各回ごとに補足プリント配布。

講義予定:
最初にマルクス「生活過程」論の概要を紹介し、生命過程、政治的生活過程、物質的生活過程、社会的生活過程、精神的生活過程、個人的生活過程、歴史的生活過程、の順に、コロナ危機分析を進めながらマルクス「生活過程」論を浮上させていく。

講座の進め方:
テクストの該当部分を皆で読みあげ、受講者からの補足、批判のコメントを出してもらい、コロナ分析面とマルクス展開面の両面で議論を深める。