5月の学長通信

「大阪労働学校・アソシエ」の講義へのお誘い(学長通信1、2016年5月10日(火))
 本校の講義に関心のある方々の聴講を歓迎いたします。いつでも、ご都合のつくときにご参加下さい。場所:学働館3階・図書室。

                                学長 本山美彦

2016年5月の講義予定(講師陣の敬称略)

第1限(10時半~12時)「基礎ゼミナール」
 齋藤日出治(元・大阪産業大学副学長) 毎週火曜日(5月10、17、24日)
 「必ず克服できる資本主義」
  ・・・貨幣、資本の循環など、資本主義を理解するための基礎的な枠組みを学び、そ
の枠組みから今日の経済と社会を考えます。

 本山美彦(京都大学名誉教授) 毎週水曜日(5月11、18、25日)
 「世界を動かしている力とはなにか?」
・・・「1921年のクロンシュタットの水兵反乱」を素材に、革命の理想と現実の格
   差を考えます。「経済政策と公共政策」も話題にします。

齋藤・本山の両講師 毎週金曜日(5月6、13、20、27日)
「自由討論」
  ・・・講義で感じたこと、疑問、個人の意見を自由に出しあって、意見交換をします。

第2限(13時半~15時)「社会変革の古典を読む講座」
大賀正行(部落解放・人権研究所名誉理事) 毎週火曜日(5月10、17、24日)
 「エンゲルス・『空想から科学へ』を読む」
  ・・・古典をじっくりと読んでマスターすることを目標としています。

 友永建三(部落解放・人権研究所名誉理事) 毎週水曜日(5月11、18、25日)
「森信成『唯物論哲学入門』の読み合わせ」
  ・・・唯物論と観念論の違いを学びます。講義の最後に感想と質問を文書で提出する
  ことによって、古典を読む姿勢を学びます。

 田畑稔(『唯物論研究』編集長) 毎週金曜日(5月6、13、20、27日)
 「マルクスのアソシエーション論」
・・・アソシエーション論を中心に据え、現代に生きるマルクスに迫ります。

第3限(16時半~18時)「社会制度の改革を学ぶ講座」
 加藤哲郎(早稲田大学大学院客員教授) 5月9日(月)
「戦争の記憶―ゾ ルゲ事件、731部隊、シベリア抑留」
  ・・・歴史の記憶は、時々の情報戦で作られます。敗戦直後に反戦・反ファシズ
ムの物語とされていたゾルゲ事件は、東西冷戦 の開始とともに「国際赤色スパイ
団」の犯罪とされました。一見無関係なゾルゲ事件と関東軍731部隊の細菌戦・
人体実験、日本人60万人のシベリア抑留、1956年日ソ国交回復時の近衛文麿元
首相長男・近衛文隆の抑留死に至るまで、虚実を取り混ぜた、日本、アメリカ、
ロシア(旧ソ連)、あるいは中国等々から発信される国際情報戦が見えてきます。
 
 服部良一(元・衆議院議員) 5月16日(月)
「憲法問題」
  ・・・沖縄で相次いで起きる米兵による事件事故。沖縄では憲法よりも日米地位協定
が優先され、日米安保のもとで住民の人権がないがしろにされている実態を一緒に考
えましょう。

 杉村昌昭(龍谷大学名誉教授)
 5月10日(火)「68年と現代史」
 ・・・ギリシャ現代史、ヤルタ会談とギリシャ内線、そして現在のギリシャ債務
危機から反グローバリズムの運動を考えます。
 5月17日(火)「68年(五月革命)とフェリックス・ガタリ」
  ・・・「分子革命」から「三つのエコロジー(自然・社会・精神)」の総合的理
解を得ることを目的とします。

 仲間(海勢頭、うみせと)恵子(近畿大学講師) 5月11日(水)
「沖縄問題」
  ・・・沖縄の近現代史を映像や音楽などを交えてたどり、「沖縄問題とは何か」
を考えます。

山本勝也(山口大学経済学部准教授)
  5月19日(木)「世界の水資源の危機」(1)
  5月20日(金)「世界の水資源の危機」(2)
  ・・・「競争相手」の意を表す「ライバル」は、「同じ川を利用する人」という
  ラテン語を語源に持っています。生命にとって欠くことのできない水資源を「経
済財」としてではなく、地域住民や団体によって共同して管理されるべき「コモ
ンズ」(共有財産)とし理解されるべきだという視点から、世界の具体例を検討
します。

 澤野義一(大阪経済法科大学教授) 5月27日(金)
「原発の存廃に関する憲法問題」
  ・・・前回(4月22日、金)、休講のためにお話できなかった「改憲論と緊急事態条項導入論」にも触れることにします。

第4限(19時~20時半)「共生・協同社会建設を学ぶ講座」
 津田直則(桃山学院大学名誉教授) 5月23日(月)
「スペイン・モントラゴン協同組合コミュニティ」
  ・・・社会的経済を担う協同組合社会を学びます。

2016年4月に行われた講義の概要
(学生のレポートから)
 学生(C)のレポート(抜粋)
「この一か月間(4月)で学んだこと、感じたこと」(2016年4月30日)

第1限 「基礎ゼミナール」
齋藤日出治 「必ず克服できる資本主義」
 4月5日(火)「資本主義とはなにか?―大阪労働学校でなぜ学ぶのか。資本主義のしくみ―私たちが生きている世界の神話」
 4月12日(火)「資本とはなにか」
 4月19日(火)「商品・貨幣とはなにか」
ア 「資本」とは物であり、それは資本・賃労働という社会関係において資本になりえることの理解や、「W-G-W」の資本の一般定式から読み取る「資本の価値増殖」の仕組みなどを学んだ。
  その学びの中で、自分としては、特に「貨幣」について思考を巡らせた。そこで得た貨幣に対する理解は、資本の増殖運動の根幹をなす生産と消費との結びつけ、いわゆる流通は、貨幣なしには存在し得ないこと。また、貨幣は人々の日常意識によってその価値が形成され、貨幣に対する人々の価値意識が変わりなく続いている以上、その貨幣の価値は減価せず不変であり、かつ結果的に蓄蔵機能もあわせ持つことになる。そして、その蓄蔵機能は、物理的に価値蓄蔵ができるだけでなく、人々を貨幣蓄蔵に駆り立てるという副作用を持つ、というものであった。
イ 19世紀頃から世界的に、封建社会から近代へ移行していくが、一般的にその変遷は人類史の進歩の結果と見られている。
しかし、その真相は、封建社会の圧政からの解放ではなく、産業革命が進む中で必然的に資本主義が勃興し、その結果、封建社会が崩壊し、世界は近代化の方向へと進んでいったのではないかとの認識に行き着いた。なぜなら、資本主義の形成、発展においては、人々が私的所有者になることが必須だからである。生産手段からすべての人々が解放されることが必要不可欠だからである。それは人々の封建的な身分的階級関係からの解放を伴う。でなければなしえない。よって結果的に封建社会が崩壊したのである、という考えに行き着いた。
 ウ (略)

本山美彦 「世界を動かしている力とはなにか?」
4月6日(水) 「ティー・パーティ」
4月13日(水) 「リバタリアン」
4月20日(水) 「物理的豊かさと精神的貧しさ」
4月27日(水) 「(ケインズ)孫たちの経済的可能性」

ア 「世界を動かしている力」を読み解くには、現象面だけの分析、理解だけでは
足りず、関連する物事の歴史的経緯や関係性の理解が非常に重要だということを学ん
だ。
例えば、アメリカのティー・パーティ運動を理解するためにはボストン茶会事件を理解する必要がある。それはアメリカ社会の根底に流れる思想、具体的には、個人の自由は何人からも束縛されないという精神を根底に、政府の肥大化を嫌い、国の国民経済に対する干渉や税制は限りなく最小にとどめるべきだというイデオロギーである。また、アメリカのイデオロギーを理解するためには、アメリカの自由とは何かを考える必要がある。アメリカの自由は、ヨーロッパの自由とは異にするものである。ヨーロッパの自由は「コミュニティにおける公平、平等の精神」が根底にある。(それに対してヨーロッパの保守思想は―本山による加筆)、古き良き時代への回帰、いうなれば過去の長い歴史の中で培われてきた(封建的身分社会における)伝統的共同体の相互扶助を懐かしむ思想である。
(略)
 イ また、戦後の日本の政治は、アメリカの工作によって作られてきた、あるいは誘導されてきた事実や、いまだなおアメリカに付き従いつづける(そうせざるを得ないとも思えるが)官僚やマスコミの実態などを垣間見ることができた。
 ウ 日本社会は、現在においても思想的には封建社会から脱し切れていない面が少なからずあることを知った。それは、そもそも明治維新はヨーロッパなどの革命とは違い、真の意味での封建社会の打倒ではなく、基本的に貿易と貨幣(銀)を独占する(君主の)江戸幕府と、密貿易で財を成した(略)薩摩藩や長州藩との利権争い、封建制における特権階級同士の闘いであった。また、明治維新後においては、廃藩置県などを行ってはいるが、結果的には政治体制は天皇という封建社会のトップが支配する構造が続き、徳川慶喜をはじめ、諸藩主家の大多数が廃されるどころか華族家となって存続し続けており、現代社会においても「侍魂」という言葉の在が象徴すように、いまだに侍=封建的身分制度を敬う風潮が続いている。ヨーロッパが、騎士をドンキホーテとしてパロディ化しているのとは対照的であり、そういった面から封建社会から脱し切れていない面を垣間見ることができた。
 エ (肯定するわけではないが)ナチスドイツのユダヤ人政策が、単にアーリア人至上、ユダヤ人劣等の人種的な問題から端を発しているのではなく、それは、当時のナチスが国民を扇動するための人種的イデオロギーに使ったのであって、その真相は金融政策をめぐっての駆け引き、闘いであったということを知った。
オ 北朝鮮の水爆実験など朝鮮半島をめぐる関係諸国の動向に評価に関して、日本社会とヨーロッパ社会ではずいぶん違ったものとなっていることなどを知った。
 オ 結局、人々の世界観や常識は、各種マスメディアなどメディアを通じて広く流布されている情報が源泉となっている。
また、日本にはメディアの数は、いまだ少なく、大手メディアの事実上の寡占状態にあり、それら日本のメディアは、実態的にはアメリカの支配下にあることを知った。だから日本人の常識はどうしてもアメリカあるいはアメリカの政策を賛美するものとなってしまっているのであろう。
   社会変革をめざす場合においては、変革する側も「メディア」というアソシエーションを手中に納めることが必須であると痛感した。

第2限 「社会変革の古典を読む講座」
大賀正行 4月5日(火)、12日(火)、19日(火)、26日(火) 「空想から科学へ」
ア 『空想から科学へ』や『共産党宣言』など古典の読み合わせにより学習するというスタイルである。この学習は、基本的に科学的社会主義理論を習得するためのものである。しかし、古典を読み解く方法、ある意味、古典の味わい方を習得すためのトレーニングという面もあわせもつ。
イ その学習形態は、読み合わせを行って節という単位からしっかりと内容を理解してゆき、そして複数の節の理解をもとに章、引いては著書全体を読み取っていき、理解を深めるというものである。また、前回の振り返りも行うなど非常に丁寧でゆっくりとしたペースで進む。
以前から古典については文体が難しく、言葉の最小単位の単語レベルから理解できないところが多々あり、結局何をいっているのか理解できず最後まで読み進むことができないことが多かった。非常に読みにくいと敬遠してきた。しかし、この学習を受ける中で、もしかすると自分にも(非常に読みづく難しいと敬遠してきた)哲学や経済学などの古典を読み解く力、理解できる力が備わるのではとの思いが芽生えてきた。
ウ 4月の学習では、近代(19世紀)の社会主義思想の形成は、無政府状態の生産現場における有産階級と無産階級との階級対立から萌芽し、その理論はルソー、モンテスキューなどのフランスの啓蒙思想家が打ち立てた諸原則を踏襲していること。そして、その発展過程は、バスティーユ襲撃にはじまったフランス革命が事実上、ヨーロッパ全土を巻き込んだ封建君主制における特権階級とブルジョアとの闘いへと発展する中で培われてきたことなどを学んだ。
エ フランス革命を発端として、社会全体が、封建社会から近代社会への方向へと進み始めたが、それはプロレタリアを代表するような顔をしたブルジョアが先導するものであり、封建社会から(政治的には民主主義ではあるが、経済的には資本主義という)ブルジョアに都合のよい社会への変革であり、決してプロレタリアが主役になれるような社会への変革ではなかったということを理解した。
オ マルクス経済学は、ドイツの哲学、イギリスの経済学、フランスの社会主義思想の3要素から成り立っており、資本論はその集大成であることを学んだ。
カ 革命は、必ず副作用をあわせもつこと認識した。それはフランス革命においてはロベスピエールを中心とした恐怖政治であり、ロシア革命においてはソヴエト政権がとった戦時共産主義や、スターリン体制におけるスターリン主義などである。
  戦後、世界各地に生まれた共産党は、スターリン主義を踏襲したコミンテルンの支部が発展したものであり、18世紀後半から19世紀にかけて活躍したマルクスやエンゲルス、レーニンなど社会主義者たちの思想を受け継いだものではなことも理解した。

友永健三 「」 4月6日(火)、4月13日(火)、4月20日(火)、4月27日(火)
 唯物論哲学入門
 ア 森信成『唯物論哲学入門』の読み合わせにより学習するというスタイルをとっている。そして、講義の最後には、任意ではあるが感想と(疑問がある場合は)質問事項を出さなければならず、それが結果として学習に対するモチベーションを上げてくれる。なぜなら、感想や質問事項を書くためには、講義をしっかりと聴講しなければならないことは当然であるが、その上で自分の思考を張り巡らし、考えをまとめることが必要となるからである。
 イ 哲学は物の考え方であり、観念論と唯物論に二分されること、日本社会においては、民衆に考えさせないという伝統が永く続いたため観念論が主流となっていることなどを知った。
   また、観念論は精神を第一義とし、唯物論は物質を第一義とすることを学び、人間の死について観念論的には、肉体と魂の分離であり魂は生き続けることが出来るという考えに至る。それは人間の実感を中心するという思考法から生じる。唯物論においては、人間は必ず死ぬことを前提に、もし人が死後においても生き続けることができるのであれば、それは人の記憶の中に残り続けるというものである。あくまでも物理的、物質的事実から思考するというものである。そういった観念論と唯物論における思考法の違いを学んだ。
 ウ また、第一講の中で部落解放運動における差別の原因のとらえかたの変遷の議論があり、それは、全国水平社創立当時は個人の認識が原因であるとして捕まえ、その後、それが社会の風潮や常識に移り、戦後においては部落民がおかれている劣悪な実態の反映であるとの考えに至ったというものであった。
   個人的には、部落差別の問題は 明治維新以前においては封建社会を支える身分的階級関係から生ずるものであって、明治維新後においては、社会が近代化の方向へと進み、資本主義が形成、発展しつつある中で、すべての人々が私的所有者になり、封建的な身分的階級関係に伴う生産手段から解放されるべきところ、なぜ明治維新後においても依然と部落差別が残り続けるのかという疑問にぶちあたった。
   その疑問を質問したところ、第二講で友永講師から8つの説についての説明があり、それを端緒に議論をする中で、自分の中の結論としては生産予備軍(アンダークラス)を確保するために存在を強いられてきた身分的階級であるとの考えに至った。現代においての生産予備軍(アンダークラス)は非正規労働者である。

田畑稔
 4月8日(金)、4月15日(金)、4月22日(金)
「マルクスのアソシエーション論」
 ア 基本的に唯物論研究会の季報「第134号」の読み合わせ学習をスタイルとしている。また、来月からは田畑講師著作の『マルクスのアソシエーション』を教材になる予定である。
 イ 学習の目的は、ヘゲモニーをもとにした社会変革を実現するためのアソシエーションの組織、その理論と技法を学ぶものである。マルクス、エンゲルス、レーニン、グラムシらが説いた陣地戦論をベースに、変革者側の陣地、アソシエーションをどう構築していくのかという問題意識の中で、人々や、社会性を帯びた人々の群をアソシエイトする技術を習得するものと理解している。
 ウ 戦争の戦闘においては、ヴェルダンの戦いやソンムの戦いに代表される第一次世界大戦まで主流だった陣地戦から、第二次世界大戦でのナチスドイツによる電撃戦や機動防御戦に代表される機動戦へと移行し、現在の戦闘においては機動戦が戦術のデファクトスタンダードになっている。
逆に、社会変革をめざす上での闘いにおいては、社会主義思想がロシアで実践される前から陣地戦の重要性が提唱されてきた。実際、ロシア以外の西ヨーロッパにおいては革命には至っていない。自分自身においては、現在においても真の社会主義革命というものは、いまだかつて存在しないとの認識を持っている。
それはなぜか、その差異などを念頭に学習を受けた。
 エ ロシアで革命が成功したのは、まず社会が、人民があって、その上に企業や学校、商工会議所や市民団体など近代社会の発展に伴って生まれてくる多種多様な社会性のある集団、いわゆるアソシエーションがあって、その上に権力機構が存在し統治するというヘゲモニーをもとにした支配、いわばピラミッド型のようなしっかりとした土台のある支配ではなく、社会の大多数が農奴や第一次産業であるという構成の上に、ツァーリを頂点とした権力機構が存在し、力で統治しているという支配であった。だから、民衆暴動で皇帝軍を駆逐し、政権を奪取するという機動戦による革命が通用した。
   しかし、資本主義が高度に発展し、それに伴って近代化が進む西ヨーロッパの国々では、軍事的勝利あるいは民衆暴動だけでは革命闘争の雌雄を決することには繋がらない。また、それは戦争においても同様で、戦闘の勝利だけで雌雄を決するものではない。
なぜならば戦闘においては、補給などの兵站が滞らない範囲で陣地や支配地域などがあればよく、実際の戦争、例えば日中戦争の日本軍やベトナム戦争におけるアメリカ軍などにおいても、戦闘に関しては百戦百勝であったにもかかわらず、実行支配しているのは軍が存在している地域のみで、前線に近づけば近づくほど軍が移動するに伴って支配地域も移り変わるという状況であった。結果的に両国は戦闘には勝利し続けたが戦争には負けた。
   それに対して中国の毛沢東率いる紅軍の戦いは対照的である。それは戦闘に劣勢でありながらでも長征に転じ、「農村から都市を包囲」という戦略により最終的に勝利した。長征は事実上の敗走であり(10万弱の兵力が長征により数千人に減少)、しかし、それは農村という集団をアソシエイトし、巻き返すという基本方針を貫いたまでであり、その方針が功を奏したからに他ならない。
また、その昔の中国における中華思想による他国の事実上の支配や、モンゴル帝国の繁栄などの源泉についても軍事力による勝利というよりも、その支配地域の政治や宗教、経済システムなどアソシエーションを尊重した結果、支配地域のアソシエーションの多くを中国やモンゴルへの支持にまわらすことができたからに他ならない。それは戦争が政治の延長線上にあるということの理解の結果であり、アソシエイトの技法による結果であるともいえると考える。
この理論により、社会変革をめざす場合においても政治の延長線上にある闘いと位置づけ、民衆暴動などによる政権奪取という機動戦だけに依拠し、それに偏るのではなく、変革者側の陣地=アソシエーションを多数組織し、それを社会変革の原動力にしていくという路線をとるべきであるとの考えに至った。
 オ この学びの中で、関西地区生コン支部の産別運動が労働者の労働条件や中小企業の権益の維持向上という私益追求の面だけでなく、社会変革をすすめるための陣地拡大、陣地戦の最前線であったことを再認識させられた。だからこそ、権力がやっきになって弾圧を仕掛けてくるし、その昔、経団連会長大槻文平をして「関西生コンの運動は資本主義の根幹にかかわるような闘いをしている」、「組合運動の範囲を越えた組合があって、セメントの不買なども行われており、こうした動きは十分警戒しなければならない」、「工業組合と労働組合が提携をして独占への闘いを挑んでいる。これは人民公社的な運動だ。この闘いを放置してはならないし、『箱根の山を越す』ようなことをさせてはならない」などと言わしめたのである。この学習を受ける前と比べて、関西地区生コン支部の産別運動に関する理解をさらに深めることができたような気がする。
   また、いま自分が携わっている地域コミュニティ再生の取り組みについても、単なる人助けのボランティアではなく、社会の変革させるための原動力をアソシエイトしているということを強く実感するようになった。

               ・・・・・・・ 
 (以下は、各講師のシラバスより本山が作成)

第2限 齋藤日出治・本山美彦 「自由討論」 4月8日(金)、4月15日(金)、4月22日(金)
 「理論と実践―関生の産別労働運との関連で」
  ・・・地域との連帯をどう創り出すか?を考えました。

第3限 「社会制度の改革を学ぶ講座」
 上原公(ひろ)子(元・国立市長) 4月21日(木)
「憲法が求める地方自治」
  ・・・「地方自治」は民主主義の学校と言われている。沖縄、岩国、巻町など
事例に、憲法から基本的人権、国民主権、平和的生存権の基本と民主主義社会と
は何かを、「地方自治」に視点を置いて、見てきました。

 金早雪(キム・チョソル)(信州大学社会科学系〔経法学部〕経済学部教授)
 4月24日(月)「アジアの社会保障」
  ・・・韓国の政治・経済と生活政策の「遅れ」:独立後の韓国の歩みを紹介し、近代
的生活政策の起点である「救護行政」の特徴と意義を考察しました。

第4限 「共生・協同社会建設を学ぶ講座」
津田直則 4月25日(月)
 「経済体制としての社会的経済とその中心の協同組合」
  ・・・労働運動が地域運動に発展する可能性について、考察しました。

 以上でお分かりになるように、本校の講義は非常に熱の入った、中身のぎっしりと詰まったものです。是非、聴講にお出で下さい(学長、2016年5月6日、金、記)。