オンライン経済学講座

『レフト3.0の経済学と思想』

2月20日(土)14時から
※この講座は、27日(土)18時から再配信します。

講師:松尾匡
共催:薔薇マークキャンペーン

労働学校の経済学講座は、毎月一回程度、YouTubeライブにて開催します。
過去の講座に参加していない方でもぜひご参加ください!

テーマ
「市場の自動調整機能をめぐる学説対立の本質的論点は何か—価格伸縮性か流動性選好か」

 

「市場の自動調整機能をめぐる学説対立の本質的論点は何か—価格伸縮性か流動性選好か」
 反緊縮の経済学に目覚めてしばらく様子を見ると、同じく反緊縮派とされる中でもリフレ派とMMTと公共貨幣論(政府通貨派・ 信用創造批判派)が互いに罵倒しあっていて、しかも相手は自分側のことを理解せずに批判していると互いに言いあっています。 MMTと名乗る人たちの間でも、お前はMMTを理解していないと攻撃しあっています。
いったい彼らは何をめぐって論争しているのでしょうか。

 サンダースは最初の大統領選挑戦のとき、MMTのケルトンがすでに経済顧問で、勝ったらホワイトハウスにニューケインジアンのク ルーグマンを迎えたいと言いました。 でもこの二人は激しく論争しています。コービンの党首選当選までのブレーンのMMTのマーフィは、当選後「失脚」して労働党経済顧問には前々からの論争相手のニューケインジアンのレンルイスらが就きました。ニューケインジアンは、日本では「リフレ派」 と一括して呼ばれましたが、その中の、ブッシュ政権のブレーンだったマンキューと左派のクルーグマンとは経済問題にかぎっても非常に険悪な論戦を繰り返しています。
いったい彼らは何をめぐって争っているのでしょうか。

 実は、資本主義の市場経済が、自由競争に任せればうまくいくものであるかどうかの認識を分つ本質的論点として、価格が需要に合わ せてスムーズに変動するかどうかという伝統的な論点と、 貨幣というものをめぐる認識の論点があり、両者が自覚されずに混同されていることが議論の混乱を招いていると思われます。 この講義では、講師自身の立場を明らかにする中で、この混乱をときほぐすための論点整理を試みます。

講座全体の概要

去年はれいわ新選組も登場し、サンダースやコービンに代表される左派ポピュリズム=反緊縮革新派(プログレッシブ)の流れがついに日本上陸かと思わせました。私はこの流れを、旧社民・マルクス=レーニン主義のレフト1.0、市民派リベラル・エコロジーのレフト2.0に対して、レフト3.0と名付けました。このレフト3.0が真に社会体制を変革し、虐げられた大衆を解放する運動となるために必要な、経済学と社会思想の体系を提起します。それはマルクスの経済学と社会思想の現代的な再生となるでしょう。
新型コロナウィルスによる経済状況の悪化、薔薇マークキャンペーンによる政策提言等についても随時お話しいただきます。

オンライン講座の参加方法

講座はYouTubeライブを使ってオンラインで配信します!

①チケットを買う。
②当日、参加用のURLが送られてきます。
③クリックして視聴!
④チャット欄で質問、感想を受け付けます。

チケットの種類

講座のチケットには以下の三種類があります。
①通常のチケット 650円
②レコチケ付きチケット 1200円
レコメンドチケット(レコチケ)は、匿名で他の人の受講料を肩代わりできるシステムです。このチケットを一枚ご購入いただくと、レコチケが労働学校にストックされ、他の人が松尾先生の講座を無料で受けることができます。
③カンパ込みチケット 1500円
通常のチケットから上乗せされている分は、労働学校の運営資金へのカンパになります。

当日のチケットはこちら↓

再配信のチケットはこちら↓


過去の講座

5月2日(土)14時から

テーマ
山本太郎の基本哲学「人は生きているだけで価値がある」の射程とポピュリズム」

6月13日(土)14時から15時半

テーマ
「日本支配層の将来ビジョン——コロナショックドクトリンが示す円高帝国への道」

消費税10%の世の中は、地域経済をになう個人・中小事業が一掃され、全国チェーン店やグローバル大企業だけが生き残る世の中です。そこで働く多くの人が非正規労働者で、地場の産物ではなくて、円高で激安輸入品が入ってくるから低賃金でも生きていけるというスカスカの格差社会です。これは保守・リベラルを問わぬ支配層のコンセンサスで、コロナショックを機にこれを一気に実現しようという提言も出ていて、政府の経済対策の中に生きています。そこに、米抜きTPP推進、自衛隊海外派兵が加わると何が言えるか。戦慄のコロナ以後を見据えます。

7月11日(土)14時から15時半

テーマ
「レフト3.0の到達点と課題——欧州での行き詰まりの教訓」

そもそもレフト3.0とはなんなのか。

レフト1.0、レフト2.0にはどんな特徴があり、どんな限界があったのか。そしてなぜ今、レフト3.0が必要なのか。

一方で、日本でもようやく姿を見せてきたレフト3.0ですが、世界中のレフト3.0を見ると行き詰まりを見せているところもたくさんあります。その根本的な原因とはなんなのか、レフト3.0の名付け親でもあり、日本で反緊縮政策の必要性を発信している薔薇マークキャンペーンの代表をされている松尾先生にお話しいただきます。

8月23日(日)14時から

テーマ
「体制変革としての反緊縮論」

・人口減少時代での反緊縮論
 講師の反緊縮政策論は人口減少時代に合致しない経済成長依存論であるとの批判がある。しかしこれは誤解である。講師の反緊縮政策論は、議論の本質として、人口減少時代を根拠として、生産手段の成長(資本蓄積)に依存しない再生産を説くものである。

・資本制的生産様式を揚棄するための反緊縮論
 また、講師の反緊縮政策論は資本制的生産様式を前提する、単なる政策論との批判がある。しかしこれも誤解である。筆者の反緊縮政策論は、議論の本質として、資本制的生産様式に替わる社会主義的体制変革を志向するものである。むしろ反緊縮政策なき体制変革は、資本制的生産様式を揚棄して生産手段の社会化を実現していくための要点を欠いていることが示される。

9月21日(月・祝)14時から

テーマ
「庶民がコントロールを取り戻すために」

 これまでの講座では、「生きているだけで価値がある」生身の具体的個人を主人公にして、制度や決まり事などの社会的なことが、その主人公からコントロールできなくなって一人歩きする事態を批判してきました。
 私はそれがマルクスの疎外論の言っていることだとして、マルクスのさまざまな論点をこの視角から解釈してきました。そこから見るとき、庶民が資本主義経済から、自分の生活世界のコントロールを取り戻していく道はどのように展望されるでしょうか。また、大企業や大金持ちに課税して再分配することは、この視角からはどのように正当化されるのでしょうか。

10月3日(土)14時から

テーマ
「ご質問にお答えして—反緊縮経済政策諸理論の関係の整理など」

内容
前回、「反緊縮の、MMT派、ニューケインジアン左派、信用創造廃止(政府紙幣発行)派の主な違いは?」というご質問をいただきましたので、主にこれにお答えしたいと思います。また、経済理論的に税金を財源ではなくインフレ抑制の機能で把握することと、政治的学的な課税正当化論との関係についてのご質問もいただいていますので、関連してお答えしたいと思います。そのほか、ご参加のみなさんからのご質問にできるだけお答えしたいと思います。

※質問を募集します。
10月3日の講座は、松尾先生にみなさまからの質問に答えていただくというのをメインで開催します。今までの講座の内容や松尾先生の著作の中で、聞きそびれている質問があれば事前に送ってください。
質問はチケット購入の際にご記入いただくか、労働学校のアドレス(info@ols-associe.or.jp)までお送りください。

10月3日(土)14時から

テーマ
「淘汰路線に見る支配層の不退転の意志」

内容
 9600万円の国費をかけた中曽根元首相の葬儀で、菅首相は、「 日本国有鉄道の分割・民営化や、 日本専売公社及び日本電信電話公社の民営化を断行されました」「 増税なき財政再建の基本理念の下、行政経費の節減、 予算の効率化を図るなど、 経費の徹底的な節減合理化と財政の健全化を強力に推し進められま した」と、もっぱら新自由主義路線の導入を功績にあげ、「 改革の精神を受け継ぎ、 国政に全力を傾けることをお誓い申し上げて、 お別れの言葉といたします」との決意表明で弔辞を締めました。

 今、 サッチャー礼賛するイギリス人をブレーンに迎えた菅新政権は、 前政権末期から引き継いだ中小事業淘汰路線を、 コロナを絶好のチャンスとして、 不退転の鉄の意志で貫徹しようとしています。 それを表す一連の流れを確認し、 日本資本主義が存続するためのその路線の位置づけと、 そのもたらす未来を概観します。

12月13日(日)14時から
※この講座は、19日(土)18時から再配信します。

テーマ「現代における投下労働価値概念の意義」

マルクス経済学の投下労働価値を使う手法は古くなったと言われて久しいですが果たして本当でしょうか。
たしかに、価格の量的な規定因としての投下労働価値説はもはや否定されています。しかし、価格で表現される経済現象を、人と人との依存関係の次元での再生産のありかたに「翻訳」するという意義を持っているのです。
この回では、「搾取」をはじめ、この概念を使うことの分析力を実感してもらいます。